その家が建てられたのは約40年前。当時の施主は現在の「おじいちゃん」だった。
築年数がたち、設備や内装にも時代を感じるようになっていた。
「台所、きれいに改装したいねぇ。」
息子さんが結婚され、新しい家族が増えていくにつれ出ていた、おじいちゃんの口癖だった。
自分と「おばあちゃん」ががんばって建てた家を、息子さんたちにも使ってほしい、みんなでこの家で楽しく暮らしていきたい。
それがおじいちゃんの願いだったのだ。
「いつか、そのうちね、なんて延し延しにしちゃったから…」
おじいちゃんは、今回のリフォームを知らないまま亡くなった。
リフォームの依頼をしたのは、その息子さんご夫婦。
古くなって、使い勝手もよくない台所をシステムキッチンに、色あせて暗くなってしまっていた和室をフローリングの洋室に…白を基調とした内装で明るく機能的に生まれ変わった。
工事が終了し、スタッフが後片付けをしているときだった。
「ちょっと、いいかしら」
おばあちゃんが持ってこられたのは、おじいちゃんの遺影。
「おじいちゃんがずっとやりたがって、できなかったリフォームだから、出来立てを見せてあげたいの」
そう言ってリフォームしたての部屋を回る。
「ほら、こんなにきれいになったよ。うれしいよね。」
まるで、おじいちゃんと一緒に部屋を見ているように話しかけながら。
「もちろん、お部屋がきれいになったのもうれしいです。でも、それ以上にあの人がずっと願っていたリフォームを息子がしてくれて、あの人が残したこの家に住むと言ってくれたことがうれしいんです。」
おじいちゃんと、おばあちゃんがこの家で積み重ねてきた思い出。
その思い出を残しながら、新しい思い出を増やしていく。そのためのリフォームだった。
いわば、住みつないでいくリフォーム。
温かい家族の歴史である。
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